病院事務職が、キントーンを使って業務改善してみた
病院でキントーンを運用した話を、2019年11月7~8日 幕張メッセで開催されたサイボウズデイズ2019東京内
kintoneAWARD2019に大阪会場代表として登壇してきました。
登壇内容は後日ログミーで公開されると思いますが、13分という短い時間で伝えられるスキルを私は持ち合わせていません!!
そこで、キンボウズの記事として登壇時よりもう少し細かく説明をしたいと考え情報アップさせていただきやす♪
それではお付き合い宜しくお願い致します
kintone AWARD 登壇資料 病院でキントーン
ノンウログラマーがグループウェアで業務改善
出落ち感のあるスライド・・・(スライドに出てくるイラストは全て家族に描いてもらっています)
プログラムを書けない職員がシステムに携わった2年半の振り返りました
kintoneを導入する際、モンスターは何なのか!?誰なのか?
自己紹介としては自宅に筋トレルームがある体育大卒(陸上競技の棒高跳をやっていまして、一応高校の時に全国8位とか頑張っていた時期もあった)
新卒は介護職スタート
なぜ介護職かというと、小学校1年生の時に両親が離婚して大学進学まで祖父母の家で暮らしていました。
年々老いていく祖父母を見てもしからした介護をする必要があるかもしれない(結局元気元気でポックリと 介護をする必要がない状態で亡くなったので出番は無かった)
少子高齢化と騒がれだしだ時代でもあり、これからは介護だ!!そう思い大学在学中にヘルパー資格を自腹で受けにいき、無事京都で大きな医療介護総合グループに入職
同じ法人内で介護職→相談員→営業職と異動を重ねて3年ほど前に今の職場に転職
転職した理由は子供ができて家から職場が遠いこと。車で1時間かかっていたので、保育園に入ったら送り迎え大変だと思いまして(今は転職先の企業主導型保育所に預けているので仕事終わって5分程度で迎えに行ける)
転職先に今も勤務してまして、京都リハビリテーション病院 地域医療連携室にて在籍中。入院や退院の支援から数字の管理などする部署ですが優秀なメンバーが集まっているので僕は最近窓際族でござる
勤務先は64床全て回復期リハビリテーション病棟で構成されている珍しい病院なんです(法人内にも急性期病床は一切ないのは全国でも両手で数えられる程度だと思う2019年時点では)
そんな特化型病院の課題とは何か?
病院の課題は、患者紹介数の99%が外部からの紹介
病院内にも法人内にも急性期病床が1床もないので、99%以上が外部の医療機関からの紹介患者で成り立っています。
救急車が患者さんを載せて職場に来ることはまずないんですね。救急で治療が必要な方は急性期であり、職場の病院の機能は回復期
急性期→回復期→生活期
つまり、別法人の病院との密接なやり取りが病院にとって重要な課題となっている。外部医療機関から低い評価となると=病院の稼働にも影響するかもしれない!!
そして私は平成28年10月に転職し、営業頑張りやした・・・
冬場になって患者さんの紹介も増えてきたんですけどね
申し込みが増えれば増えるほど申し込みから入院日までの受け入れに要した日数が伸びてしまう。
このままでは「待たせる病院」になってしまい、99%紹介で成り立っているのにやばいんじゃないか・・・
→転院調整に要した日数短縮を目的とした情報管理ツールの導入について という演題名で学会発表してます。医事業務にも掲載してもらいました。
早く受け入れをするには情報を早く共有すること!!
リハビリテーションは受傷や発症後早期に介入することが望ましいという考え方なので、早期転院調整は回復期の地域医療連携室では最重要ともいえる課題である。
また、ベッドが埋まっているのであればお待たせすることを伝える。そうすることで他の病院に申し込んでいただく。患者さんのことを考えれば待っていた悪よりも早期リハビリ介入が大切だと考えています。
会議を開いて情報共有の回数を増やさなければいけない!!
毎朝会議しよう!!
明日の朝の会議に資料を間に合わさなければいけない!!
資料を見てもらいたい職員が休みであったり、資料の追加が必要であったりと結果がなかなか出ない
病院課題解決案として、キントーン導入を検討した
ということで、色々とシステムツールを探すとkintoneがいいらしいと聞く
元々サイボウズliveという無料のグループウェアを法人内や外部医療機関との連携に利用していました。
ただ無料というところと、拡張性がないので掲示板以上の使い方ができなかった・・・(そもそもサービス終了しましたからね 笑)
モヤモヤしている中@Ken10Gさんと近隣の病院を含めた病院同士が集まる地域会議に参加
病院同士の情報共有スピードアップさせるにはどうすればいいのか?
心に響いたのか、情報共有をクラウドツール使ってみよう。連携強化をやってみようという流れになった
病院でキントーン使ってみると、難しそうだけど面白い
最初は1つの病院がまとめて契約して、1病院に1つのユーザーアカウントを割り振る形でした。なので、そこまで活用できる環境ではなかったのですが、
これは自身の職場でも利用できるんじゃないか?と感じ(特に根拠はない)
情報を見やすく、共有は簡単に、できれば印刷も簡素化できる環境をkintoneなら実現できると考えました(何度も言いますが根拠はない)
ということで5ユーザーを自身の職場でも契約する事に!!
色々と勉強している中で、kintoneにはプラグインという便利なものがあることを知りました・・・
しかし、予算はございませんので無料のプラグインをひたすら探してダウンロードしまくる日々。
合計10個ほどのプラグインを入れました(すべて無料配布の物)
kintoneのレコードを開いてから編集ボタンを押すという流れが時間もったいないと思い、TISさんの一覧画面編集プラグインをインストール
これで、レコード一覧画面から直接編集が可能になりました。疑似的なExcel化に成功したと喜んだのを覚えています。(発表で使った動画も公開しておきます)
kintoneの標準機能ではjpegやpngといった、画像データは添付ファイルフィールドに掘りこむと勝手にプレビュー表示が可能となります。
しか~し、PDFはプレビュー表示されないので添付データをクリックするとPDFデータが端末にダウンロードされてしまう仕様
例えば患者さんの資料をPDFにしてkintoneの添付ファイルフィールドに入れるとしましょう。共有したい情報だからユーザーはクリックする。クリックした端末にはPDFのデータとしてダウンロードフォルダーとかに残る。
いくら社用PCとはいえ個人情報がPC内の残るのは避けたい・・・そう考えいたらPDFをプレビューできるプラグインを見つけました(無料)
ジョイゾーさんのPDFプレビュープラグインがあれば、端末にPDFをダウンロードしてから確認しなくてもブラウザ上でPDFを確認することができます。
このプラグインがあればkintoneレコード詳細画面でPDFデータを確認してコメントを書くことが可能↓で登壇に使用した動画をアップしておきます。
プラグインやjsのコピーを使いまくり、素人カスタムkintoneができあがりました。
病院でキントーンをすすめる自分がモンスター化
これで、皆楽する瀧村賞賛の嵐 グフフ・・・
しかし現実はそんな甘くない
「画面が急に変わって分からない」
「Excelの方が使いやすい」
「前の画面に戻して」
「kintoneはやはり無理だったんじゃないか?」
カスタマイズすればするほど現場を混乱させる
僕自身がモンスターになっていました
病院の現場が欲しいキントーンアプリを作成する方法
モンスターになったから暴れる!!
訳もいかず止まるか進むかの2択
もう少し進んでみたいと上司を説得し3か月の猶予をもらう
まず、kintoneの画面表示でコロコロ変わっていたのはレコード一覧画面だと推測
疑似Excel化に加えて、新デザイン版条件書式プラグインを使って文字の色や太さ、背景色をコロコロ変えていたので・・・
ここでもTISさんのプラグインが大活躍!!
ログインユーザー連動各種設定プラグインを利用すると、ログインユーザーごとにアプリを開いて一番最初に表示されるレコード一覧画面の一覧を設定することができる。
私は標準機能の中でできる表示方法
僕はカラフル一覧
ワテはExcel風
ログインするユーザによって、最初に表示される一覧画面を変えることができる。
自分の一覧画面をカスタマイズしてもOK!!
「ここが分からない」の度にその人の元まで駆けつけることは不可能。何故ならこちらも仕事の片手間にkintoneをいじっているんだから・・・
kintone専属ではないけど、分からない人に自分の分かる範囲で伝えることはできるはず。
とりあえず自分の知識が正しいのかも分からない状態だったので、本を買って勉強した
隣で教えることはできないが、Zoomを使ったWEB研修みたいなものはいつでもできるんじゃないか?
ちょうどZoomというツールを覚えだしたのでガンガン使っていこうぜ!!というノリでZoom✖️kintoneを何度もやった
録画もできるのでメンバーに共有した・病院でキントーンを普及させるには、あの手この手と使う必要がありました。
設定方法よりはアプリの使い方がメインでしたね。(まだアプリを作りたいという声はこの時期なかった・・・)
病院にキントーンを導入した結果は、数値にしっかり出た
赤い折れ線グラフはkintoneを利用する前で、黄色い折れ線グラフはkintoneを利用してからの数値。
kintoneを使いだしてから申込数は年々増加していくが、赤い折れ線時代のように受入日数がグッと伸びることはなくなりました。
kintone意外にも直接的な院内連携の効果もあります。満床になると、どれだけkintoneで情報共有のスピードアップを図っても、受入日数は伸びてしまいます。
グラフはあくまで目安です。
個人的なkintoneの効果は定時に帰ることが可能となった
明日の為に残って資料を作るということが無くなったんですね。レコード登録すれば情報が共有される。資料を作る必要がない。
残ってする仕事がない訳ではないんですが、今は残らずに子供との時間を大切にしたい
kintoneは職場も家族も幸せにしてくれるかも知れません・・・
ここまではkintone hive osakaの内容です。ここからがAWARDの為に追加した内容
新たな課題はkintone標準機能では実現不可能
hive osaka終了後に現場から
「こんなこと出来ますか?」と質問を受けました
元々、利用者マスターアプリに全ての情報を入力。曜日ごとに記録アプリを作成し、利用者マスターアプリから必要な情報を記録アプリに持ってくる
アプリアクションとかルックアップではなくTISさんの一覧レコード集計/コピープラグインを利用していました。
現場からの要望は曜日ごとに記録を蓄積していくと1つのまとめる作業が発生する。それであれば初めから1つのアプリに記録を蓄積すれば二度手間がなくなるのはないか?
プログラムを書くこともできなければ、プラグインを作ることもできない。病院でキントーンは普及しないのか?
いやいや、だからkintoneを使っているんです。
kintoneの事例を見ていると何でもできそうな気がするんです
キラキラしているんです
しかし実現できないことが多い。(プログラム書けばできることは増えるのかも知れない・・・)
プログラムを書けないからと言って諦める必要はないんですよね
Customineで非開発者でもkintoneカスタマイズ
Customineを利用すればプログラムが書けなくても、やりたいことをポチポチと組み合わせて少し設定。
(やりたいことによっては高度なスキルが必要)
すると、プログラムを書いたみたいにkintoneがカスタマイズできるkintone連携サービス。
現場からの質問に対して
「できるようになったからこっちのアプリ使って」と言えたのもCustomineがあった。
↓言われたことを再現してみました
httpv://youtu.be/dsdYWf2tQu0
kintoneのことを勉強し、アウトプットしていると自身にも色々な変化を感じるようになりました
病院キントーンが人生を変える
kintone以外にも色々と取り組むことで活動が仕事として認められ肩書きが追加されました
また、株式会社MOVEDに参加したり、ブログも自分が想像している以上に認知されているようです。
ここ1年で増えた肩書きは
- キンボウズ 代表(個人事業主)
- MOVED業務改善アドバイザー
- kintone hive ファイナリスト
- kintoneアソシエイト
- kintoneアプリデザインスペシャリスト
- kintoneエバンジェリスト
- SA-kintone
- SA-Garoon
- ICT Project Manager
全て書くことはできないけども、まぁまぁ濃い1年を過ごしたんだな・・・笑
私がkintoneを好む理由
そもそも毎日キラキラニコニコしながらkintoneを触っている訳ではありません。
病院でキントーンを運用する際、イライラすることもあるがし、枕を濡らしかけることもあります
それでもkintoneを使ってアウトプットをする理由を考えた時に理由が説明できる写真を見つけました
最近家を買ったのですが、家の柱に奥様は「みんな健康で過ごせますように」
kintoneが大好きなんです
理由はそれだけ
ただ、最初はkintoneが嫌いでした。アプリを自分で作るとか面倒くさいし、設定できる部分が多すぎて何から手を出せばいいか分からない。近くに教えてくれる人もいないし、孤独からのスタートです
嫌いと好きは表と裏
明日嫌いになるかも知れませんが、好きだから継続できるんだと思います。
さて、話をもう少しkintoneの使い方に戻してみましょう。
仮想kintoneユーザーを作る
最近取り組んだ事例を1つ紹介します
職場の職員数は約700名。病院スタッフ全員にキントーンのアカウント付与はコスト的に難しい。
700名にアンケートを実施したいと考えましたが、アンケート用紙の配布や集計を考えると中々気軽にアンケートを実施することができません。
そこで、トヨクモ株式会社のフォームブリッジ を利用することにしました。
フォームブリッジ で作成したWebフォームのURLをQRコードにして職員に周知する。職員はスマホを用いてQRコードを読み込みリンク先のアンケートに回答する。
回答した内容はkintoneにレコードとして登録されます。kintoneにレコードが登録されれば事前に集計やグラフの設定に回答が反映されます。
そして、集計やグラフもトヨクモさんのkViewerを利用して職員にWebで公開します。
そうすることで、15ユーザーしか契約していない環境ではあるが、擬似的に700名が全員kintoneユーザーみたいに情報共有が可能となりました。
1200ユーザーをスタンダードコースで契約すると年間1200万程のコストがかかるところ、kintone連携サービスを組み合わせることで60万程度でアンケート準備、回答集計、結果公開が可能となります
必要なサービスを選択することが可能である
全員にkintoneの全ての機能を利用する必要性がないかも知れない
しかしkintoneを使って楽がしたいので連携サービスを組み合わせるという方法も1つ
これも一切プログラムが書けなくてもできること
じゃ、仕事以外でもkintone使ってみようか
仕事以外でのサイボウズ製品活用方法
最近家族でサイボウズ製品を使うことにしました。
Garoonで予定を共有し、kintoneで家計簿をつける。
チーム応援ライセンスを家族で利用しています。じゃあ将来は子供たちともkintone?
アサガオの観察日記をkintoneで記録するという自由研究もありかもしれない。
小学校の先生は夏休み中休んでいる訳ではないです。なので、夏休み中に出勤してkintoneを開くと担当している生徒の宿題進捗状況が把握できると便利かもしれない。
夏休み半ばなのにまだ一切宿題を手につけていない生徒もいれば、提出書類が雑で夏休み明けに声をかけないといけない生徒もいるかもしれない。
色々と課題もありますが、kintone大好き便利と感じているので私生活でも活用して
家族の業務改善にも努めたい・・・
kintone AWARD で言いたかったこと
13分で言いたいことを全てまとめるスキルは僕にはありませんので、キンボウズ ってブログを見てくださいませ!!
さて、最後のスライドまで来ました
2年半前kintoneを使ってみようと思い導入しましたが色々な方から問題点を指摘されて何度も、今でも運用方法に課題を感じ指摘されるアプリも存在します。それでも応援してくれる同じ部署のメンバーには感謝しかない
4月以降アウトプットする機会が増えて出張することも増えました。
kintoneを設定するということはその間僕の仕事を負担してくれているメンバーがいるし、出張時も僕の仕事を負担しているメンバーが存在する
それでも毎日楽しく仕事ができるのはチームが存在するから。いつもいつも助けてくれてありがとうございます。
もっと広がれkintone
もっと広げるkintone